不動産売買は、所有権全部を売買(移転)するのが原則です。
全部の所有権を持たないと買った側は、転売したり、土地の
上に家を立てたり、他人に貸して賃料収入を得たりが、できない
あるいはやりにくなるからです。
一方、持分だけを売買することもあります。
地上げが典型例です。
持分を取得することで、他の共有者に働きかけて、物件を売却
して持分に応じた売買代金を手に入れたい、という例もあります。
最近では電車内にも「持分だけでも買い取ります」という不動産
業者の広告を目にします。
今回やった決済ではその不動産業者が絡んでいました。
不動産を共有でもっているのですが、現在不動産に住んでいる
方と他の共有者の仲が悪く、その共有者が自分の持分を上記
電車に広告をだしている業者に売却しました。
持分を取得した業者は「共有物分割」訴訟をを起こしました。
共有状態を解消したい、という趣旨の訴訟ですが、業者としては
・業者が取得した持分を他の共有者に高く買い取ってもらう
・不動産全部を売却し、持分に応じた売買代金をもらう
のどちらかを意図しています。
結局、他の共有者の方は弁護士に間に入ってもらい、業者から
持分を買い取りました。
その他、いろいろあって今回不動産を売却することなり、私が決済
を担当しました。
事前に物件の登記簿謄本をみて、怪しい感じがあったので、上記を
売主さんに聞いてみて、実際のところを教えてもらえました。
売主さんは業者よりも、業者に持分を売った他の共有者(親族です)
のことを痛烈に非難していました。
共有で物件を所有していると、こんな争いになる可能性がある、という
典型のような実話でした。
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